事業本部長挨拶

大学附置研究所間の連携プロジェクトの推進に端を発し、2010年度に発足した物質・デバイス領域共同研究拠点(以下拠点と略)は、物質・デバイス分野において卓越した研究実績のある北大電子研・東北大多元研・東工大研究院化生研・阪大産研・九大先導研が対等に連結したネットワーク体制を組織しています。私たちは、全国の国公私立大学、工業高等専門学校、国立研究機関、企業等に所属する研究者から公募を行い、第1期(2010~2015年度)、第2期(2016~2021年度)を通じ、この12年間で5400件を超える共同研究を推進しました。この間全国の物質・デバイス領域の萌芽的研究に相当する「基盤共同研究」と「施設・設備利用」を拠点プログラムとして位置づけました。そして、優れた研究成果を発展させる「展開共同研究」、大学院生・学部生・高専生が自ら研究を計画実行する「次世代若手共同研究」や、卓越した若手研究者が独創的な分野融合研究を推進する「COREラボ共同研究」を、日本全国の研究者の皆様と5研究所の研究者が機動的に融合を図るダイナミック・アライアンスプログラムとして位置づけ、拠点及びダイナミック・アライアンスの両事業で一体的に強力に推進して参りました。当拠点は事業の継続性と発展性とが高く評価され、第2期においては、2018年度の中間評価、2021年度の期末評価において、最高評価である”S”評価を獲得いたしました。
2022年度から始まる第3期においては、マテリアルイノベーションを促進するため、クロスオーバー(物質・光・ 生命・数理・バイオ・AI などの異なる 研究領域がお互いの境界線を越えて交じり合う)を新たな目標とし、異なった研究軸を交差させ、思いもつかなかった発展をもたらすことを目指して、ネットワーク共同研究をさらに異分野融合へと展開して参ります。当拠点ネットワークでは、拠点構成研究所の研究力強化と質の向上を通じた連携・共創により、国内外の研究者コミュニティー全体の活性化、未来志向でチャレンジングな研究の支援活動を目標としています。また、研究の多様性を尊重し、可能性に溢れる研究を応援しています。多くの研究者に当拠点制度を最大限に活用頂き、研究活動のネットワークを広げて頂ければ幸いです。皆様のご協力をお願い申し上げます。

物質・デバイス領域共同研究拠点本部長
大阪大学産業科学研究所所長 関野徹